手ぶらでは株式投資を始めることはできません。きちんと必要なものを揃えるだけでなく、心構えや知識を事前に備えておきましょう。

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株式投資は、証券会社などに取引口座を開設することから始まります。
金融機関を利用することになりますし、所得があれば原則では課税対象になるので、そのための証明書類が必要となります。
また、証券会社や税務署などが、条件が整っているか確認するための時間もかかります。

投資には、投資の方法に応じて購入代金を用意する必要があります。
通常は株価×最低取引株数が最低限必要になります。また、手数料も支払わなければなりません。

投資を始めると、株価そのものや株価の予想に心理状態が振り回されがちになります。
優れた投資家は投資を長期的に考えるものです。
株式投資で生活していきたいと思っても、最初から利益を上げ続けることはできません。
勉強を重ね、株生活を送るうえでの哲学を築きながら投資家として成熟する時間が必要です。

株を始める前に用意しておくもの

株の売買は証券取引所で行われますが、投資家が直接に証券取引所で売買に参加することはできません。
証券会社などに仲介してもらわなければなりません。
そこで、まずは「証券会社に取引口座を持つこと」が、株の始め方の第一歩です。

証券会社で取引口座を開設するには、「マイナンバー関係書類」「本人確認関係書類」「銀行口座番号」「印鑑」などが必要になります。
「マイナンバー」は、税と社会保険に関して、国が個人の所得を把握するために必要とするものです。
取引で得た収入も配当所得として原則としては課税対象ですので、「マイナンバー」を届け出なければならないのです。
「個人番号カード」「通知カード」など、マイナンバーが分かるものを提出します。

金融機関に口座を持つので、身元を明らかにする「本人確認書類」が必要となります。
免許証やパスポートなどが必要となります。
書類の性質によっては、2つ以上を組み合わせて提出するよう求められることもあります。
各証券会社のサイトなどで確認するようにしましょう。

証券会社が配当金などを送金するため、銀行口座について届け出る必要があります。
キャッシュカードや通帳など、口座番号が分かるものを手続き時に用意しておきましょう。

ウェブ上で完結する場合もありますが、証券会社によっては紙の書類に印鑑を押すことが必要となる場合もあります。
証券会社のサイトなどで「各種手続き用に必要」などと掲載されていれば、あらかじめ用意しておきましょう。

「マイカード」や「本人確認書類」の提出方法は、「ウェブ上で画像をアップロードする」「郵送する」などがあります。
ウェブ上だけで済む証券会社もありますが、郵送しなくてはならない証券会社もあります。

また、取引の始め方を知ったからといって、これらの手続きから即日取引ができるわけではありません。
時間が必要です。
口座開設の手続きをして、通常は1,2週間してから、証券会社から口座開設通知書が書留などで送られてきます。
この通知書に、ネットで取引する場合のログイン情報等が書かれています。
もちろん、紛失しないよう大事に保管しましょう。

通常の取引口座では、配当金や売却益に課税されることになっています。
ただし、投資を促進するために、一定額については非課税となる制度が設けられています。
それがNISA(少額投資非課税制度)です。
NISA口座は、証券会社の総合取引口座を開設した後に、あらためて開設する場合が多いです。

NISAは「1人1口座」「1年間に120万円までの投資」「非課税期間は5年間」などルールがあります。
税金を優遇する制度ですので、NISA口座が開設可能かどうか税務署が確認します。
そのため、時間がやはり1,2週間程度かかります。
また、年数に期限がありますので、「基準日の住所を証明する住民票の写し」が必要になることもあります。
総合口座開設時にマイナンバーを届けていない人は、マイナンバー関係書類も提出することになります。

株投資開始時に必要な金額

一株あたりの価格は、新聞やネットなどで「株価」として知ることができます。
ただし、取引を行うには最低取引株数が決められています。これを「単元株」と言います。
その数は企業によって異なりますが、東京証券取引所では100と1000に統一されました。
おおよそ7割ほどが100となっています。20や30などと投資家の方で決めることは通常できません。

通常、株式の購入に必要な金額は、最低でも「その時の株価×単元株数」となります。
300円の株価で、その企業の単元株数が100株の場合、300円×100=30000円が必要となります。

実際には、株価は刻々と変動していきます。
取引が成立した株価によって、購入に必要な金額も変わります。
株の取引では「この株価になったら取引をする」「どんな価格でもいいから取引をする」の2通りの方法を選ぶことができます。
前者を「指値注文」「成行注文」と言います。

「指値注文」では、自分の決めた株価でしか取引は成立しないので、必要な金額があらかじめ分かります。
ただ、希望した価格で取引が成立しない可能性はあります。

「成行注文」では、自分の希望した価格で取引できるとは限りません。
予想よりも高くなった場合を想定して、多めの金額を用意する必要があります。
ただ、それでも株価の変動があまりに大きいと対処できないこともありえます。

証券会社や銘柄によっては、単元未満でも取引できる場合もあります。
「株式ミニ投資」と「株式累積投資(るいとう)」と呼ばれるものです。

「株式ミニ投資」は、1単元の10分の1単位で取引ができるものです。
「ミニ投資口座」の開設が必要です。
また、価格は注文日の翌営業日の始値と決まっています。ですから、指値注文はできません。
ただ、比較的低価格で取引することができます。

「株式累積投資(るいとう)」は、毎月一定額積立方式で購入していく方法です。
一定額ずつ購入するので、株価が高い時には少しの数を、株価が低い時には多くの数を購入することになります。
このような購入方法を「ドル・コスト平均法」といい、長期的には平均単価が低くなる効果が見込めます。
この購入方法では、事前に必要な金額を明確に決めておくことができます。

投資には、購入する金額だけでなく、証券会社に対して支払う手数料も必要となります。
店頭で取引していた昔に比べると、ネット上での取引では手数料はかなり安くなりました。
とはいえ、取引に応じて必ず支払わなければならないので、手数料についてもきちんと用意しておかなければなりません。

手数料は証券会社によって異なりますし、また同じ証券会社でも異なる料金プランを設定しているところが多いです。
1回の取引ごとに手数料がかかるプランもあれば、1日あたり定額の手数料がかかるプランもあります。
自分の投資スタイルに合わせて料金プランを選びましょう。

株価変動に関する投資家の心理とは

株式投資で得られる利益には、保持し続けて配当金を受け取るか(インカムゲイン)、売買差益を得るか(キャピタルゲイン)2つがあります。

投資家が特に株価の変動に敏感になるのは後者の場合です。
安い価格で購入して高い価格で売却することで、その差額が利益となるからです。
前者でも、株価はその企業の業績と関係するので配当金の額として投資家の利益に関係してきますが、後者ではよりダイレクトに株価が投資家の損得を決めることになります。
そのため価格変動は、投資家の心理に大きな影響を与えます。

価格が上昇傾向にあるときには、「今のうちに買っておかなくてはさらに値上がりするかもしれない」と焦ったり、既に持っている株で利益が出ていれば気が大きくなったりします。
アレもコレもと投資に対して積極的な心理状態となります。

また、個々の投資家の心理が価格に反映されるという面もあります。
「皆が積極的に買うだろう」と個々の投資家が思って買うので、ますます価格が上昇するということになります。
投資は「美人コンテスト」に例えられることもあります。
「自分が美人と思う人」ではなく、「みんなが美人だと思うであろう人」に投票するからです。

反対に価格の変動が下降傾向にあるときには反対の心理状態になりがちです。
「今のうちに売っておかなければさらに損をするかもしれない」と焦ったり、既に別の投資で損を出していると「これ以上損は出せない」と委縮したりします。
投資に対して消極的な心理となるのです。

そして、個々の投資家の消極的な心理が、価格下落に反映される面もあります。
個々の投資家が「皆が手じまいしてしまって、更に価格が下がるだろう」と思って、自分の株を売るので更に価格が下がるのです。
個々の投資家が価格の変動につられて、積極的な心理になったり消極的な心理になったりし、それが株価の変動を加速させ、それによって更に個々の投資家の心理が煽られるという循環が起こります。

株生活が長くなれば、このような局面にも慣れて、価格上昇が過熱している場面で売却し、価格下落している場面で「それでも将来値上がりする見込みがある」ものを選んで購入することができます。
価格に動揺してしまう心理に引きずられることなく、長期的に有利な投資ができるようになります。

一日に何度も売買を繰り返す「デイ・トレード」と呼ばれる投資活動をする人もいます。
1日中株価変動を示すモニターに張り付いて過ごすことになります。
ここまで極端でなくても、投資を短期で考える人は価格変動に過敏な心理状態に陥りやすくなります。
少しでも情報を確認する時間があくと「この瞬間にも暴落しているかもしれない」と不安に駆られてしまうのです。
その結果、本業に身が入らず、日常生活にも支障をきたしかねない状態になる可能性もあります。

投資家の心理は、株価の変化に引きずられてしまうことがあります。
その心理自体が価格に影響を与えます。
こういったメカニズムを冷静に俯瞰する視点を持ち、自分の株生活と日常生活とのバランスを上手くとることが大切なことになります。

株投資のみで生活していくのは難しいこと

株の投資で生活できるような場合には、2通り考えられます。
1つはとても幸運で、偶然投資した先から思いもよらないリターンを得たような場合です。
しかし、これはギャンブルであてたり、「くじ」で当選したりという博打に近いものです。
もう1つは、値上がりしそうな投資先を見極める力がある人です。
「投資家」として有名な人物は、後者であることが多いものです。

「投資家」と呼ばれるような人の多くは、少々の株価の変動に一喜一憂することはありません。
投資家心理と株価について冷静な視点を持ち、他の人が買わないような時期に買わないような株を購入してじっくりと値上がりするのを待つことができます。

将来有望な投資先を見極めるためには、勉強を重ねる必要があります。
企業が公表する財務諸表(「損益計算書」「貸借対照表」「キャッシュフロー計算書」)などを読み込み、現在の業績を把握し、将来の業績を予測する能力が必要です。
PER(株価収益率)、PBR(株価純資産倍率)、ROE(自己資本利益率)などの株価指数などについての知識も必要です。

また、ドライな数字で判断するだけでなく、プレスリリースなどから、その企業の活動の方向性や、経営者の為人を見極めてもいきます。
尊敬される投資家は、「どのような企業が伸びるのか」という視点に加えて、「どのような企業が伸びるべきなのか」という「投資哲学」も持っています。
企業に投資するとは、その企業を支え、応援していくことだからです。
10年、20年先を見据えて、信念を持って投資生活をしているのです。

どの投資家も、最初は利益が目的ではあったでしょう。
今から投資を始める人も「あわよくば、株投資だけで生活できるようになって、毎日の労働生活から解放されたい」という思惑もあるかもしれません。
しかし、投資家として生活するには、株式投資や経済について勉強して、知識や能力を蓄える必要がありますし、投資哲学を持てるほど社会人として成熟することも必要です。

株価の上昇局面で幸い短期的な売買差益を得たとしても、下降局面で利益を上げ続けることは難しいものです。
市場全体が上昇中でも、個別の銘柄では損を出すこともあります。
ベテランだから損を出さずにいられるとは限りませんが、初心者ほど損を出しやすいとは言えるでしょう。
投資に乗り出し始めたころは、知識も余剰資金もあまり多い状態ではないものです。
それまで生活の基盤であった職業は大事にしつつ、投資に少しずつ慣れていくことが重要です。

投資を始めた時から、勉強や修行が始まります。
尊敬される「投資家」のように「自分が企業を選んで育てているのだ」という視点も持ちながら、経験を積んでいきましょう。
今の職業をリタイアし、自分がお金を稼げなくなるくらいの年齢になった頃を念頭に、「自分に代わってお金に働いて貰う状態を整えるのだ」というくらいの長いスパンで取り組むべきです。
投資の目利きとなり、企業を育てるための投資ができるようになった時、株式投資は、お金以上の心理的充足感を与えてくれることでしょう。

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